訪日集客コラム
大阪万博に向けたインバウンド対策
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いよいよ、大阪万博が今年4月に開幕します。ニュースでは少しずつ話題になっていますが、詳細な情報をご存知ない方も多いのではないでしょうか?
本記事では、大阪万博の概要とその効果についてご紹介します。また、万博の影響でさらに増えると予想される、インバウンドの対策のポイントもお伝えします。
この記事のポイント
大阪万博とは
万国博覧会」とは、世界各地から人やモノが集まり、技術や芸術を展示する国際的なイベントのことです。特に今回の「大阪・関西万博」では、SGDsの達成や「Society5.0」と呼ばれる、仮想空間と現実とを融合させる取り組みの実現が目指されているとのこと。国内で行われる大規模な国際イベントとしては、2020年の東京オリンピック以来であり、コロナ禍が明けたこともあって多くの観光客が訪れることが予想されています。。
開催時期は2025年4月13日(日)~10月13日(月)、開催場所は大阪の人口島・夢洲(ゆめしま)です。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。現時点で161か国と地域、9の国際機関が参加を表明し、ルネサンス建築の影響を受けたイタリアパビリオンや、ボヘミアンガラスを用いたチェコパビリオンなど、独創的なパビリオンの建設を進めています。日本からもテーマ事業「シグネチャープロジェクト」や、未来社会ショーケース事業のほか、様々な展示が実施されるそうです。特に、ジュエリーブランドのカルティエとコラボしたウーマンズパビリオンや、ガンダムの世界観を再現したバンダイナムコのパビリオンは、多くの人が関心を持つことが期待されます。


それ以外にも、国内外で注目を集めているのが、個性的な外見を持つ「ミャクミャク」と呼ばれる公式キャラクター。今年に入ってからはさらに、海外の参加国も次々と特徴のあるキャラクターを公表し始めました。彼らの活躍によって、大阪万博の海外での知名度もより一層向上すると思われます。
最新パビリオン情報
公開されるパビリオン情報が続々と増える中、今回はインバウンドの視点から日本の魅力を発信する注目のパビリオンを厳選し、2つご紹介します。
1.日本館

日本館では、日本の伝統文化と最新技術が融合した未来の姿が展示されます。「和の心」と「科学技術」を融合させた未来のライフスタイルや、デジタルアートと自然と共生する未来のライフスタイルの提案が見どころです。
2.日本の飲食企業

日本の企業も未来の食をテーマにしたパビリオンを出展します。例えば、スシローは「未来のすし屋」を、くら寿司は全長約135mの回転ベルトを備えた回転寿司店を出店予定です。これらのパビリオンでは、最新の技術とアイデアを取り入れた新しい食体験が期待できます。
大阪万博のもたらす効果
今回の大阪万博で強く期待されているのが、開催地とその周辺地域への観光客の増加と、経済波及効果です。
実際、2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」では、約2205万人もの来場者と、7兆円を超える経済波及効果がもたらされました。来年の万博は、コロナ禍が終息し、インバウンドの数が急速に回復していることもあって、さらにそれを上回る結果が出るだろうと想定されています。
今年の1月には、大阪万博への想定来場者数は約2820万人と予想され、期間中の想定消費支出額は1兆3355億円にも上ると見込まれています。。そのうち約12%(約350万人)が海外からの来場者であり、2025年2月の時点でのチケット販売枚数は774万枚に達しています。近年のインバウンドの傾向として、宿泊日数の増加や“コト消費”の拡大が挙げられるため、2025年の大阪万博においても、例年より多くの利益が生まれることが見込まれます。

インバウンド対策のポイント
このようなインバウンドの流入に対応するために、重要と思われる施策を三つご紹介します。
1. 多言語対応
一つ目は、多言語対応です。2023年に学研が実施した調査でも、訪日外国人が不便に感じることとして、「コミュニケーションの難しさ」や「多言語表示の少なさ」等が上位を占めています。

これらの課題を解決するため、看板やパンフレット、メニューなどを多言語化することは必須の対策と言えます。なかでも、「愛・地球博」への来場も多かった台湾、韓国、中国、アメリカの言語を取り入れられると、外国人観光客にとっての利便性が増し、より好感を持ってもらえるでしょう。
2. キャッシュレス対応
大阪万博では会場内で現金の使用ができず、全てキャッシュレス決済となります。会場内の買い物、飲食では、クレジットカード、電子マネー、コード決済など約60種類の決済ブランドが利用可能です。訪日外国人も期間中キャッシュレス決済を主に利用すると考えられるため、周辺施設でもVISAやマスターなどを含む主要なキャッシュレス対応を強化することが求められます。2022年現時点での日本のキャッシュレス比率は他の主要国と比べて低いため、これを機に導入を進めることが重要です。

2. オンラインでの情報発信
外国人旅行者の多くは、インターネットやSNSを使って情報収集を行うため、それらのサービスにアカウントを作成し、効果的にアピールをすることが重要です。
特に中国では「大衆点評」、中国以外ではGoogleのアカウント運用が重要となります。Googleマップは、1.6億ダウンロードを誇る圧倒的な利用者を持つアプリであるためGoogleビジネスプロフィールの充実化や、SEO対策を行い検索結果の上位表示を狙うことが必須です。

また、中国人に向けては、「大衆点評」を活用することが非常に有効です。

例えば、東武百貨店 池袋店では、インターネット規制が厳しい中国への情報発信を強化するために、中国独自かつ最大級の口コミサイトである「大衆点評」の公式アカウントサービスをご活用いただいています。定期的に情報を更新して施設の魅力を正しく発信することで、実際に中国人ユーザーからの閲覧数も順調に増加しました。
こちらの事例の詳細については、ぜひ下記の記事をあわせてご覧ください。
サービス導入事例
「大衆点評」活用で中国市場の回復を逃さず取り込み 新たな市場への訴求も拡大
株式会社三越伊勢丹では、コロナ禍後の訪日プロモーションを強化するため、「大衆点評」の公式アカウントサービスや広告サービス、インフルエンサーサービスを導入されました。もともと免税売上の多くを占めていた中国市場への情報発信強化を中心に、他国に向けてのPR施策も強化しています。
3. ニーズに合わせた商品提供
三つ目は、ニーズの把握とそれに合わせた商品、サービスの提供です。インバウンドの中にも多様な国籍や文化、価値観を持つ人々がいるため、彼らの需要を事前に調べ、理解しておくことで、幅広い外国人観光客にも柔軟に対応することができます。例えば、宗教的な決まりに配慮した食品や、日本独自の文化を体験できるアクティビティなどは、高い人気を得られると思われます。また、リピーターの定着や新規顧客の増加を目指すためにも、満足度の向上には力を入れることが大切です。
ニーズに合わせた商品提供例
【プレスリリース】Japanticket、インバウンド向けヴィーガンツアーの企画・販売を開始
〜グローバルな食体験ニーズに応え、欧米豪市場の急成長に伴う観光需要の取り込みを強化〜
非常に大きな経済波及効果が見込まれる「大阪・関西万博」という好機を、店舗/施設の集客に最大限活かしていくためにも、上記のようなポイントを踏まえたインバウンド対策を行うことは有効といえるでしょう。
この記事のまとめ
- 大阪万博は、2025年の4月13日〜10月13日まで、大阪の夢洲で開催される。
- 大阪万博には、約350万人が海外から来場すると推定されており、彼らがもたらす経済波及効果に期待できる。
- 増加するインバウンドへの対策として、多言語での看板やメニューの用意、オンラインを活用した情報発信、ニーズの理解と対応などが挙げられる。
参考文献
EXPO 2025 大阪・関西万博公式webサイト
2025年日本国際博覧会来場者輸送対策評議会「大阪・関西万博 来場者輸送具体方針(アクションプラン)」
国土交通省観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査を実施しました」
国土交通省観光庁「訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 2022年年次報告書」
一般財団法人 アジア太平洋研究所「大阪・関西万博の経済波及効果 最新データを踏まえた試算と拡張万博の経済効果」
読売新聞オンライン「イカの体?に目がいっぱい・振袖姿のイタリアちゃん…ミャクミャクに仲間ぞくぞく!」
みずほリサーチ&テクノロジーズ「2024年のインバウンド見通し – 19年を超える訪日客数・単価を維持、消費総額は7兆円超に – 」
学研ホールディングス「訪日外国人が『日本で不便に思うこと』のランキング。『地球の歩き方』が展開する訪日旅行情報サイト『GOOD LUCK TRIP』が発表」
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