訪日集客コラム
中国人観光客が実際に選んでいる日本のお土産を解説
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海外旅行では、現地での食事や観光だけでなく買い物も楽しみの一つです。特に、訪問先ならではのお土産を購入し、帰国後家族や友人にプレゼントしたり、自分用として楽しむ方も多いのではないでしょうか。
日本ではその土地ならではの魅力的なお土産が用意されており、その種類も多岐にわたっています。訪日中国人旅行者によるお土産の購入にはどのような傾向が見られるのでしょうか。
中国人観光客の定番のお土産とは
お土産の定番といえばやはりお菓子などの食品と考える方が多いのではないでしょうか。
実際に食品は、お土産の中でも大きな部分を占める人気商品となっています。
2023年の訪日外国人調査によると、訪日中国人の支出で一番多い割合を占めているのはお土産代で、95,813円。その中でも一番多く買われているのは菓子類で購入率は71.9%と最も高く、購入者単価は11,622円でした。
続いて二番目に多く買われているのは化粧品・香水で、購入率は55.0%です。商品自体の単価が相対的に高いこともあり、購入者単価は39,030円と、菓子類よりも高くなっています。
化粧品・香水に続いて衣類も、購入率41.8%、購入者単価47,428円と高い水準になっていることがわかります。
また、宝石・貴金属も多く買われており、購入率は3.7%なのに対し購入者単価は202,733円と金額は三品目の中で最も高額な結果となりました。
人気のお土産、その理由は
外国人観光客が菓子類を多く購入する理由として「家族や知人から頼まれたから」という声も多く、日本のお菓子にはお土産としても多くの需要があることがうかがえます。
また衣類に関しても「品質が良い」や「自国よりも価格が手頃」などの回答が多く、日本の製品の満足度が高いこともわかりました。
また、購入額で見ると「電気製品」「宝石・貴金属」も上位に入ってきます。これも日本製の品質や安全性の評価が高い日本ならではですね。
よく利用されるお土産の購入場所とは
これらのお土産を購入する場所ですが、ほとんどの品目において宿泊施設周辺、観光地にある「コンビニエンスストア」、「百貨店・デパート」や「空港の免税店」が利用されています。
同様に「ドラッグストア」および「スーパーマーケット」でも日本食を購入している方が多く、旅行者の購入店舗に関する発言からは用途に応じて使い分けをしている傾向が見られます。
お土産の購買にあたっては、“日本をイメージできること”および“希少性(例えば母国で入手困難、限定販売など)”を重視し、“日本ならではのお土産”に対する需要があることから、日本全国どこにでもあるコンビニやドラッグストアなども、お土産の購入場所としては利用しやすい場所と言えるのかもしれません。
お土産選びにも使われる「口コミサイト」の影響力
日本のお土産と一言で言っても、その種類は非常に多く、選ぶのも大変です。購入にあたっては、「自身による試食」、「家族・知人の口コミ」、「口コミサイト」による情報が参考にされています。
「JTB訪日旅行重点15カ国調査2019」によると、中国人は旅マエ・旅ナカで情報収集の手段として口コミサイトを利用する人が5割〜6割いることがわかっています。
このことから、中国人観光客にとって口コミという文化が情報収集や購買意欲など意思決定に非常に大きく影響しているといえます。
では、なぜ中国では口コミが消費行動に影響するほど重要視されているのでしょうか。
中国では本土の規制によって、普段我々が情報を仕入れるのに使っている「Google」や「Instagram」、「X(旧Twitter)」のような、世界中で使われている検索エンジン等のサービスが使えない状態にあります。
また、広告においても、日本では当たり前に使用されている「No.1」や「最も」などの絶対的表現を使うことが禁止されています。
そのため、中国人が情報を仕入れるためには、自らの経験をもとに評価している口コミによる判断や、有名インフルエンサーなどが発信する情報に頼る必要があり、人口の4人に1人がネットの口コミを参考にするという結果も出ています。
(Mckinsey & Company「中国消費者報告2021」より)
このように、飲食店や購入品などさまざまな場面において「口コミサイト」による事前の情報収集は当たり前となっており、その影響力は非常に大きいものと言えますが、お土産の購入においても「口コミサイト」が活用されています。旅行前から事前に情報収集をしておき、実際には訪日中に購入商品を決めているようです。
中国最大の口コミサイト「大衆点評」
ABOUT大衆点評とは 中国人観光客が旅行の「旅まえ、旅なか、旅あと」 すべての行程で「探す、使う、体験拡…
では実際にどのような商品が口コミによって買われているのでしょうか。
2019年の中国トレンドExpress調べによると、コロナ禍前に実際に口コミによって買われていた商品には、
・日本製の薬用ローションなどスキンケア商品
・口内炎パッチ
・のど飴
・生理用品や赤ちゃん用のおむつ
など、日本で作られた薬品や薬などが多くありました。
一方で、ウイスキーやおもちゃなどの娯楽用品も口コミによって購入されています。
ここで実際に中国人観光客が使っている口コミサイトを調べてみると、
最も多く使用されているのは「Ctrip(シートリップ)」で使用率が42%。続いて「TikTok」が使用率26.4%で、投稿されている動画に閲覧者がコメントする形のSNSが使われていることがわかります。
また中国国内で20−30代の女性を中心に消費行動を支え、絶大な人気を誇る「RED」(レビューアプリ)も多く使われ、若者を中心に口コミ情報発信が行われています。
このように中国国内ではさまざまなメディアにおいて口コミサービスが活用されており、旅マエ・旅ナカ問わず口コミサイトやSNSが購買に影響を与えていることがわかります。
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この記事のまとめ
- 日本土産の主力商品はお菓子。「化粧品」「衣類」も人気となっている。
- お土産の購入には「コンビニエンスストア」、「百貨店・デパート」、「空港の免税店」だけでなく、「ドラッグストア」や「スーパーマーケット」が利用されている。
- お土産の販売促進にも、現地で有名な口コミサイトや SNS などオンラインでの情報発信が非常に重要となっている。
- 特に中国ではメディアの利用制限や表現の規制などにより口コミ文化が発達し、現在では4人に1人がネットの口コミをもとに消費活動を行っているほど重要なものとなっている。
参考文献
農林水産省「訪日外国人旅行者のお土産購買行動」
国土交通省 観光庁「訪日外国人の消費動向 2023」
JTB「訪日旅行重点15カ国調査2019」
Mckinsey & Company「中国消費者報告2021」
株式会社トレンドExpress 「中国消費者『買った』日本商品ランキング2019」