訪日集客コラム
訪日への影響はどうだった?2024年の春節インバウンド振り返り
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この記事のポイント
中華圏を含む各国でコロナ禍の水際対策が緩和・撤廃され、約4年ぶりに国際的な往来の盛り上がりが予想された2024年の旧正月「春節」。
旅行者たちは春節前にどのような行動をとり、実際に今回の大型連休中にはどのような反響があったのでしょうか。
ニュースとデータを交えて、今年の春節インバウンドを振り返ります。
春節前の訪日への期待
春節連休が開始する前の時点で、中華圏のインターネットユーザーは海外旅行に対してどれほど意欲をもち、日本は目的地としてどのくらい人気を集めていたのでしょうか。
SNSやGoogle検索におけるランキングと、中国の航空便回復状況から2024年の動向をまとめました。
中国版Instagram「小红书」の海外目的地検索、日本は2位に
春節直前にあたる1月中旬の時点で発表された、中国版Instagramと言われている「小红书」(REDBOOK)の検索データによると、春節に向けた海外旅行目的地の検索において「日本」はタイに次ぐ2位となりました。
また、検索キーワードを見ると、OTAを利用するユーザーはコスパの良いホテルやチケットに関心を寄せていたようです。
中国国際線も着実に回復、2月は日本路線がトップ3に返り咲き
航空データ分析のシリウムが公表した中国の航空会社の提供座席数の最新データによると、2024年2月の国際線全体の供給量は、依然として2019年比27%減となっているものの、東京線は同2%増、シンガポール線も同6%増になるなどパンデミック前を超える都市も出てきました。
国際線トップ10のうち、タイ、日本、韓国の路線の提供座席数はコロナ禍で大きく順位を下げたものの、2024年2月にはそれぞれ2019年と同様にトップ3に返り咲きました。2024年2月の提供座席数を都市別で見ると、東京は5位で33万7000席、大阪は7位で21万3000席となっています。
国際的な往来の勢いに大きく影響する空の便に関しても、春節期間を前に受け皿を広げていたことがわかります。
台湾では、フライト検索トップ10に日本から5都市がランクイン
グーグル台湾が2024年1月31日に発表した、今年の春節期間(2月5日〜14日)に台湾を出発するフライトの目的地検索トップ10によると、10位のうち日本の都市が5つを占め、今年は新たに福岡がランク入りしました。
トップ10に入った日本の都市は、東京(1位)、大阪(2位)、札幌(4位)、福岡(5位)、沖縄(10位)。
東京は昨年に続き首位、大阪と札幌は昨年から順位を上げ、台湾のユーザーは春節期間の訪日意欲が高いことがうかがえる結果となりました。
<出典>
小红书 旅行業界春節旅行洞察
YAHOO!JAPAN NEWS 中国の航空会社、国際線が着々と復活、2月の東京線は2019年比2%増、日本路線がトップ3に返り咲き
フォーカス台湾中央社日本語版 台湾発の春節期間フライト検索、トップ10に日本から5都市=グーグル
春節期間、実際の反響
では、実際に春節の大型連休期間中、中華圏における海外旅行は増加したのでしょうか?
中国の旅行プラットフォームのデータからは、コロナ禍前を上回る活況ぶりがわかるほか、日本においても2月に入り中国からの予約数が急増しました。
中国では海外旅行予約がここ4年で最多に
「春節」の8連休を終え、多くのプラットフォームが発表している連休期間中の旅行関連データを見ると、今年の中国は国内外ともにこれまでで最も活況を呈した春節連休となりました。
中国のオンライン旅行予約プラットフォーム・飛猪(フリギー)のデータによると、8連休中の海外旅行の予約数はここ4年で最多となり、前年同期比で約10倍と激増。人気の海外旅行先の半分以上が2019年同期の予約数を上回りました。
また、中国人を対象に「ビザ免除措置」を実施する国が増えたことも追い風となり、移動距離の長い国やニッチな場所への旅行も大幅に増加したことも特徴的です。
旅行予約プラットフォーム・去哪児のデータによると、8連休中、中国人観光客は125ヶ国の1754都市に足跡を残し、海外のホテルの予約数は前年同期比4.7倍増、国際線の飛行機チケットの予約数は同比14倍増となりました。
<出典>
人民網日本語版 春節8連休に中国人が125ヶ国1754都市を訪問 海外旅行予約がここ4年で最多に
中華圏からの訪日は大幅に増加 地方部にもにぎわい
2024年は2月10日から旧正月「春節」の大型連休となり、青森県内にも中国や台湾などから多くの観光客が訪れ、コロナ禍以前のにぎわいがみられました。
青森県三沢市の宿泊施設では、2月17日までの「春節」期間中の宿泊客数が、コロナ禍前にあたる2019年に比べても、香港からはおよそ2倍、台湾からもおよそ1.2倍に増加。
中国本土からの宿泊客も8割ほどに回復しており、宿泊客全体で見るとコロナ禍以前の水準にまで戻っているということです。
<出典>
NHK NEWS WEB 春節で中国や台湾などから観光客 コロナ禍前のにぎわい戻る
「大衆点評」経由の予約データ推移
株式会社Japanticketが扱う、中国最大級の生活情報プラットフォーム「大衆点評」経由の直近7ヶ月の予約データの推移をみると、2024年2月の予約数は大幅に伸び、予約人数は前月比で263%まで増加していました。
もともと、夏休みシーズンにあたる7〜8月が1年の中でも旅行のピークとなる傾向にありましたが、今年の2月はそれをも上回る訪日中国人観光客が訪れていたと考えられます。
日本政府観光局(JNTO)が発表している訪日外客数のデータでも、2023年夏に大きく増加した訪日中国人数が10月〜12月には少し減少し、年明けからは再び急増しています。これには、航空便の回復やそれに伴う運賃高騰の沈静化などが寄与していると考えられます。
春節期間における「大衆点評」ユーザー動向
また、今回の春節期間前後の「大衆点評」上のユーザーデータを見ると、日本エリアでのUV(ユニークビュー)数は2月9日から2月15日にかけて急速に増加しています。
PV(ページビュー)は2月15日、UVは2月14日にそれぞれピークに達し、1月初旬と比較するとPVは217.47%増加、 UVは127.90%増加しました。
また、日本エリアでの「大衆点評」ユーザーの最大の関心は美食(グルメ)で、美食カテゴリーは2月9日から急激に増加して2月14日にピークに達し、1月初旬と比較すると210.32%もの上昇となりました。
訪日中国人のグルメに対する関心の高さに加え、訪日旅行中においても食事のタイミングは1日3回あるため、他のアクティビティと比べても検索が伸びやすいといえます。
次の訪日ピークに向けて
2024年の春節は中国を中心に旅行需要が大きく回復し、久しぶりに賑わいを取り戻しました。
直近の訪日中国人数の推移から考えると、3月以降も観光客数自体は引き続き伸びていくと予想されます。
インバウンドによる売上拡大を考えている観光事業者にとって、計画的な集客施策の実施は重要となります。
年間を通して訪日意欲が高まりやすいタイミングは何度かありますが、中国に向けたプロモーション対策をするなら、「夏休み」や「国慶節」の時期に集客を最大化できるように、今から準備をしていくのがおすすめです。
Japanticketは「大衆点評」国内正規代理店として、中国向けの情報発信やプロモーションをご支援しています。
集客時期から逆算した施策などご要望に沿ったご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事のまとめ
・春節前の中華圏におけるインターネット検索からみると、引き続き訪日意欲は高い
・2024年の春節期間、中国人の海外旅行はコロナ禍前に並ぶ活況に
・日本においても春節前後の期間で訪日は大幅に増加
・次のタイミングとして、夏休みや国慶節に向けた中国プロモーションが有効
中国人観光客の集客についてはお気軽にご相談ください。
2024年春節の準備に関してはこちら
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