訪日中国人数の回復において長らくボトルネックのひとつとなっていたのが航空便数ですが、2024年5月の労働節休暇の時期には2019年比76%にまで戻るなど、ようやく日中の往来が軌道に乗り始めました。
また、長らく厳しい制限が敷かれていたコロナ禍を経て、最近の訪日中国人観光客の旅行動向には以前とは違った傾向もみられるようになってきています。

本記事では、夏のハイシーズンに向けて、そんな中国旅行者のトレンドを解説いたします。

中国→日本の航空便の現状 2019年比76％まで回復、ボトルネック解消へ

長らく、訪日中国人数回復のボトルネックとなっていた日本行きの航空便数ですが、現在大幅な回復をみせています。
中国のニュースメディアによると、労働節時（5月の連休）の往復航空便数は2019年比76.3%の水準まで回復しており、合計1,315便が運行されています。

また、特定の都市間の便数を詳しく見ると、以下のような回復状況が報告されています。

上海→東京：2019年比110%
上海→大阪：2019年比95%
北京→東京：2019年比92%
上海→名古屋：2019年比98%

このデータから分かるように、中国主要都市から日本の主要都市への便数は、いずれも2019年と同等の水準となっています。
​​​​​その中でも上海から東京への便数は110%と、2019年を上回る回復を見せており、主要都市における航空便数はほぼ回復しきっていると言える状況です。
今後はさらに、地方路線への拡大も期待されます。

＜出典＞
中国ビジネスニュース

回復しつつある訪日旅行者、その属性は？

2019年と2023年における中国からの訪日旅行者の属性を比較してみると、コロナ禍を経て大きな変化があったことがわかります。

特徴的なものを挙げると、
・30代の旅行者が減少し、40代の旅行者が増加
・旅行日数が大きく伸び、7日以上日本に滞在する人が64.2%に
・家族や親族との旅行が減少し、一人での旅行が3割超え
・訪日旅行リピーターも増加し、2回目以降が65％に
…といった変化があったことが読み取れます。

これらの訪日旅行者のトレンドをみていくと、一人で気ままに旅行をする若者や独身者が増加していると言えるのではないでしょうか？

また訪日リピーターも増えていることから、定番のゴールデンルートだけでなく、今後地方部への旅行者も増えていくことが期待されます。​​​​​

＜出典＞
観光庁「訪日外国人消費動向調査」観光庁「訪日外国人消費動向調査」（１次速報）

中国人旅行者の消費動向の変化

また、訪日中国人旅行者の消費動向にも変化が見られます。以下はその具体的な数値です。

• 買物費用：108,788円→121,717円に増加
• 宿泊費：45,217円→88,265円に増加
• 飲食費：36,631円→60,647円に増加

宿泊費に関しては、日本国内の宿泊施設の客室単価自体が上昇しているという背景もありますが、それでも主要ホテルにおける2019年比の値上げ幅は概ね20%未満にとどまっており（※）、訪日中国人旅行者の宿泊費や飲食費が2倍近くにまで増加している主な要因には、円安の影響による購買意欲の増加と滞在日数の増加があるのではないかと考えられます。
これらの費用の増加は、日本での滞在をより豊かに楽しむための出費と捉えられるでしょう。

＜出典＞
観光庁「訪日外国人消費動向調査」観光庁「訪日外国人消費動向調査」（１次速報）
※参考：東京商工リサーチ「上場ビジネス・シティホテル客室単価・稼働率調査」

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